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2007/11/10

スピンを避ける

クルマの挙動で最も怖いのが調子に乗りすぎてスピンモードに入る現象です。自分が思っている以上にクルマがインに巻き込む挙動です。
いわゆるアンダーと呼ばれる現象は進入速度が高すぎて遠心力にグリップが負けてコースアウトする現象です。遠心力を小さくする=旋回速度を低下=減速で対応できます。さらに減速に伴って前輪への荷重が増えるのでステアが効くようになります。
しかし、スピンモードは減速すると前輪への荷重増加で今度は前輪を軸に廻ろうとする挙動が増えていわゆるタコ踊りになってしまいます。じゃ、どうやって回避するのでしょう。

ここで挙動方式別に説明しましょう。
FR(フロントエンジンリアドライブ:後輪駆動)
大型セダンやスポーツカーに多い駆動方式です。

スピンモードはコーナリング中に後輪が前輪を追い越す挙動であり、前輪がつっかえている状況です。ブレーキを残したままコーナーに進入して、コーナリングの途中にアクセルを強く開けるとこういう状況を生み出しやすいです。これはパワースライドと言います。前輪に荷重が乗って、後輪の荷重が少ない状況で後輪にパワーをかけると、後輪がグリップ限界を越えるためにリアが流れる事を使った技術です。ハイパワーなクルマほどやりやすいです。アクセルを必要以上に開ける事をやめたらスライドも止まるのでスライド量もコントロールできます。
雪道で後輪駆動車のリアにチェインをかけるのはリアのスライドを避けることが目的ですね。

クルマそのものの公転と自転を考えるとコーナーに沿った重心の移動が公転。クルマの中で重心位置が変わると重心を中心に自転するわけです。この自転を制御するためにアクセルを使います。
FRではアクセルを緩めるとアンダーに戻ると考えてほぼ差し支えないでしょう。ただ、急激にアクセルオフすると前輪荷重が増えすぎてタコ踊りになりやすくなります。

FRではスピンになりかけたらアクセルを緩めてカウンターをあてる。ですね。

FF(フロントエンジンフロントドライブ:前輪駆動)
小型セダン他殆どのクルマ。

スピンモードは前輪を軸に後輪がグリップを失って自転している状態です。
FFの後輪は駆動力がないので転がっているだけです。ブレーキを残してコーナーにアプローチすると後輪の荷重が減ります。グリップ=摩擦力なので荷重が抜けたら摩擦は減ります。FRと異なって駆動力によってグリップを越えるのではなく荷重が減ってる状況で生じます。
FFはエンジン、ギアボックス他も前輪に集中しているので後輪側は荷重の基になるのはガソリンタンク内の燃料だけです。極めて前輪荷重が大きいので前輪を軸にした自転を生じます。(タックイン「巻き込み」といいます)。
ここで、FRの様にアクセルを緩めたりブレーキを踏むと、さらに前輪荷重が増えてしまいます。カウンターをあててもその方向に進もうとする力が無いと後輪はグリップしていないのでフラフラです。これがFFのタコ踊りになり、制御不能スピンとなります。

サーキットでFFはアクセル踏んでたら良いよと簡単に言われるのもこの挙動を防ぐためですが、ブレーキで減速しないと曲がり切れずにコースアウトします。あくまでもタックインの防止です。

FFでスピンになりかけたらアクセルを少し踏みながらカウンターをあてる。です。

さてリアが流れ出す自転の遠心力の中心(重心)はほぼ前輪軸にあるわけですから、アクセルを踏むことでクルマはリア荷重が増え、さらに重心がクルマの中心に移動して遠心力も小さく(遠心力は半径に比例)なり、挙動が安定化します。このとき前輪が行きたい方向に向いていればカウンターが効きます。

右カーブで地面を絶対軸として9時から3時まで定常円を廻るとしましょう。コーナーの頂上12時に向かってのアプローチではコーナーの10時頃では前輪(ステア)が車両進行方向に対して2時、後輪は1時半とかで、クルマの長軸よりもステアを30分余分に切っている状況です。定常円を廻るのならそのままステアが一定のまま(舵角一定)コーナーを抜けていきます。
App

スピンモード寸前は後輪が2時になるとステアが2時となり、クルマはゼロカウンター状態になります。すでにステアがまっすぐなのにクルマは横にスライドしている状態です。
0counter

ここで後輪が2時半以上になるとスピンモードです。Spin04_2

赤い矢印が後輪の遠心力を示します。ゼロカウンター状態と前輪の向きが異なっていますが、前輪を軸に回転を始めているとつかんでください。この状態から前輪の向きを左へカウンターをあてると
Counter
図で示すように前輪は赤い方向に向きます。ここでアクセルを開くとクルマは前方へ引っ張っていこうとします。水色の後輪のスライド、紫の前輪による自転補正をあわせて緑色の方向にクルマは進もうとします。つまり後輪のスライドしていきたい方向をキャンセルするわけです。これができると突然のスピンに対応しやすくなります。

こういうスピンは雪道、坂道の下り等で生じやすくなります。
なお、FFでチェインを駆動輪に巻くのは前輪とアクセルで色々姿勢変化できるからです。

安定なAWDクルマはスピンモードになりにくいのですが、一度廻ると戻るまで時間が必要です。
基本的にはFFと同じく行きたい方向にステアを切ってアクセルを開くのですが、開きすぎるとスピンモードになるFR挙動も出るので微妙なアクセルワークが必要です。
FRの様に駆動力を落として安定化する必要はないし、FFの様にリアが勝手に流れることも無いのですが、4輪全部が流れます(笑)。この状態でもステアを行きたい方向に向けてアクセルを踏むとそっちへ行くので早いわけですね。なお、クルマそのものは重たくなっているので限界は低い速度で生じます。
とはいえ、上りでFFの様に駆動力不足になる事もないし、FRの様にステアが抜けることもありません。

極めて稀な駆動方式であるMR/RRはFFと同じくタックインしやすいです。それでいてFFの様に踏めばアンダーではないのでなかなかやっかいです。これらのクルマは駆動軸上にエンジンが乗っていることを使って走る方が無難です。

まずブレーキ。フロントエンジンのクルマだと前輪に殆どの荷重がのっかります。FFなんて後輪荷重ゼロになってもおかしくありません。FRだとまだマシですが・・・。

ところが後輪軸上にエンジンが乗っかっているRR/MRはブレーキをかけたら後輪にも荷重が乗ります。この最たるものが911です。掴むように止まります。
そして加速。駆動軸(後輪)にエンジンが乗っているし、加速してクルマの重心が後方移動したらさらに後輪に荷重。ホイールスピン起こしにくいです。FFだと前輪の荷重が抜けて前輪ホイールスピン。FRは穏やかにホイールスピンですね。

RR/MRの場合滑り出すと大変ことになるので、滑らないように走る事が重要です。
余談ですが、1960年代のモンテカルロラリーで911がミニにブッちぎられたのは有名な話です。スパイクタイヤを履いていてもRRはFFに叶わないってことです。グリップが得られないから踏めないということですね。

ちなみに911の様なRRはブレーキをかけた時に前後荷重が50:50になるのでブレーキをかけたままコーナリング。出口でフル加速ってのがよいのではないでしょうか。それでも雪が降ったらFFに負けます。当然MRも同じです。これらのクルマは天候が悪い時は乗らない方が無難です。

・・・悪路でも早いのはAWDです。だからランボはAWDのMRにしたのでしょう。

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